NIKO ESTATE
住宅ローン審査の知識

フラット35と民間住宅ローンの違い|借入あり・頭金なしの人が比べる条件

運営:NIKO ESTATE(株式会社LBC)

結論

どちらが審査に通りやすいかを比べた資料は、編集部が確認した範囲にありません。違いは条件の決まり方で、フラット35は住宅金融支援機構が全国共通の申込要件を定め、勤続年数の項目がなく、団信に加入しない場合も利用できます。頭金なしは融資率9割超の区分で、2026年10月の金利の範囲は年3.94%〜5.95%です。

この記事でわかること

  • フラット35と民間の住宅ローンの条件を10項目で並べた比較表
  • 頭金なし(融資率9割超)と団信の種類で、フラット35の金利と月々の返済額がどう変わるか
  • フラット35のデメリットにあたる条件と、注文住宅で資金を受け取れる時期
  • 他の借入れがある人・転職して間もない人・自営業の人・健康状態に不安がある人が確かめる条件
  • 状況ごとに先に確かめる条件の一覧と、確かめる順番

フラット35と民間の住宅ローンの違いは、条件を誰が決めているかにあります。住宅金融支援機構のよくある質問「フラット35とはどのような住宅ローンですか。」は、フラット35の主な商品概要(申込要件など)を機構が全国共通で定めていると説明しています。ローンを提供するのは金融機関なので、融資金利や融資手数料、申込時の提出書類は金融機関によって異なる、とも書かれています。

民間の住宅ローンは、申込みの条件も審査項目も金融機関がそれぞれ決めています。国土交通省の令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査(回答994機関)では、勤続年数や返済負担率の基準の数値が機関によって分かれていました。

「借入れがある人・頭金なしの人はどちらが審査に通りやすいか」を比べた資料は、編集部が2026年10月13日に読んだ機構のページと国土交通省の調査にはありませんでした。この記事では通りやすさを比べず、公表されている申込条件と基準の違いを並べます。フラット35のご利用条件にも、審査の結果によっては希望にそえない場合があると書かれています。

記事の内容は2026年10月13日時点の公式情報に基づきます。「民間の住宅ローン」は、銀行などがフラット35とは別に自社の条件で提供する住宅ローンを指します。フラット35の説明は機構が住宅ローンを買い取る型についてのもので、フラット35(保証型)の条件は取扱金融機関に確認してください。

用語は次の意味で使います。返済負担率(フラット35の用語では総返済負担率。年収に占める、すべての借入れの年間合計返済額の割合)は「返済比率」とも呼ばれます。融資率は、建設費・購入価額に対する借入額の割合です。団体信用生命保険(団信)は、返済中に万一のことがあったときに保険金が返済に充てられる保険です。

01 公表されている条件を10項目で比べると、差は金利・申込要件・団信・検査に出る

フラット35と民間の住宅ローンで公表されている条件を10項目で並べると、差が出るのは、金利のタイプ、年収と勤続年数、頭金の扱い、団信、住宅の検査、資金の受取り時期です。

フラット35と民間の住宅ローンの条件の比較(2026年10月13日に各資料で確認。民間の列の回答数は国土交通省の令和7年度調査・回答994機関・複数回答、機関名のある条件はその機関の例)
比べる項目 フラット35(住宅金融支援機構の公表内容) 民間の住宅ローン(国土交通省の調査と金融機関の例)
金利のタイプ 全期間固定金利 機関・商品ごと。令和6年度の新規貸出額は変動金利型が83.5%。PayPay銀行は変動金利と、固定期間2〜35年の固定金利から選ぶ
金利の水準(2026年10月) 借入期間21〜35年・新機構団信付きの金利の範囲は、融資率9割以下が年3.83%〜5.84%、9割超が年3.94%〜5.95%。借入金利は取扱金融機関により異なる 機関・商品ごと
年収・勤続年数・雇用形態 申込要件は年齢・国籍等・総返済負担率の3つ。最低年収の制限はない。勤続年数・雇用形態の項目は見当たらない 勤続年数を審査項目にしている機関が93.9%、年収が94.2%、雇用形態が70.6%。りそな銀行は原則、給与所得者(契約社員を含む)が勤続1年以上。PayPay銀行は前年度年収200万円以上
返済負担率 年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下(すべての借入れを合計) 審査項目にしている機関が90.9%。基準の数値は機関ごと
頭金(融資率) 建設費または購入価額以内まで借りられる。融資率9割超は借入金利が変わり、返済の確実性等をより慎重に審査 購入の場合の融資率を審査項目にしている機関が69.1%。上限は機関ごと
団信 加入しない場合も利用できる(借入金利は新機構団信付きの金利−0.2%) 「団信加入が必要」が834機関、「選択可能」が89機関。PayPay銀行とドコモSMTBネット銀行(WEB申込コース)は加入が条件
住宅の条件と検査 機構が定めた技術基準に適合する住宅。物件検査に合格して適合証明書を提出する。物件検査手数料は自己負担 機関ごと。PayPay銀行は、建築基準法などの法令に合致しない物件を対象外としている
保証人・保証料・手数料 保証人・保証料は不要。融資手数料は取扱金融機関により異なる 保証会社の保証が必要とした機関は系列が524、外部が361。「連帯保証不要」は55機関。PayPay銀行は保証料不要で、事務手数料は借入金額の2.20%(税込)
借入期間と年齢 申込時に満70歳未満(親子リレー返済を除く)。借入期間は15年以上で、「80歳−申込時の年齢」と35年の短いほうが上限 完済時年齢の基準は「80歳未満」が716機関。PayPay銀行は20歳以上65歳未満・完済時80歳未満で、最長50年
工事中の支払い 資金の受取りは、適合証明書を提出して借入れの契約を結んだ日。中間資金はない 機関ごと。PayPay銀行は戸建の新築で建物完成時に一括融資。ドコモSMTBネット銀行(WEB申込コース)はつなぎ融資・分割融資を扱わず、土地先行プランがある

フラット35の列の出どころは、ご利用条件、金利情報、よくある質問の申込人の要件・年収による制限・保証人や保証料・資金の受取りです。民間の列は国土交通省の調査、りそな銀行のよくあるご質問、PayPay銀行の商品要項、ドコモSMTBネット銀行のお借入条件によります。

機関名のある条件はその機関のページの内容で、ほかの機関に当てはまるとは限りません。調査の数字は回答した機関の数です。

02 フラット35は全期間固定金利で、頭金なしと団信の種類で金利が変わる

フラット35の借入金利は全期間固定金利で、借入期間(20年以下・21年以上)、融資率(9割以下・9割超)、加入する団信の種類などに応じて変わります(フラット35のご利用条件)。PayPay銀行の住宅ローンのように、変動金利と固定金利から選ぶ商品とは、この点が違います(商品要項)。

フラット35(借入期間21〜35年)の金利の範囲は、2026年10月現在で、融資率9割以下が年3.83%〜5.84%、9割超が年3.94%〜5.95%です(新機構団信付き。フラット35の商品ページ・金利情報)。頭金なしで借りる融資率9割超の区分は、範囲の下限・上限とも年0.11%高くなっています(図1)。

フラット35の金利が変わる2つの区分。借入期間21〜35年・新機構団信付きの2026年10月の金利の範囲は、融資率9割以下が年3.83%〜5.84%、融資率9割超が年3.94%〜5.95%。団信の種類では、新機構団信は加減なし、新機構団信(デュエット)はプラス0.18%、新3大疾病付機構団信はプラス0.24%、団信に加入しない場合はマイナス0.2%。
図1 フラット35の金利が変わる2つの区分(2026年10月)。住宅金融支援機構の金利情報・よくある質問(Q&A番号599)をもとに作成(NIKO ESTATE作成)

団信の種類による加減は、機構の金利情報の注記にあります。夫婦で加入する新機構団信(デュエット(ペア連生団信))は掲載金利+0.18%、新3大疾病付機構団信は+0.24%です。団信に加入しない場合は「新機構団信付き【フラット35】の借入金利-0.2%」になります(よくある質問599)。

適用される金利は、申込時ではなく資金受取時のものです(よくある質問371)。注文住宅では申込みから資金の受取りまで工事の期間があるので、申込みの月に見た金利のまま借りられるとは限りません。

3,500万円・35年では、融資率9割超の区分で毎月2,291円増える

同じ3,500万円を35年で借りる場合、融資率9割超の区分は9割以下より毎月の返済額が2,291円、総返済額が約96万円多くなります(金利の範囲の下限どうしの比較。丸める前の総返済額の差)。団信に加入しない場合は、9割超の区分でも毎月149,560円です。

フラット35の金利の区分別の返済額(借入額3,500万円・借入期間35年・元利均等返済・ボーナス払いなし・諸費用は除外。金利は2026年10月の金利の範囲の下限に機構の注記の加減を当てはめた仮定。毎月の返済額は円未満四捨五入、総返済額は万円未満四捨五入。NIKO ESTATE作成の試算)
区分 金利(仮定) 毎月の返済額 総返済額
融資率9割以下・新機構団信付き 年3.83% 151,423円 約6,360万円
融資率9割超・新機構団信付き 年3.94% 153,714円 約6,456万円
融資率9割超・団信に加入しない 年3.74%(3.94−0.2) 149,560円 約6,282万円
融資率9割超・新機構団信(デュエット) 年4.12%(3.94+0.18) 157,500円 約6,615万円
融資率9割超・新3大疾病付機構団信 年4.18%(3.94+0.24) 158,773円 約6,668万円

表の金利は、金利の範囲の下限を使った仮定で、特定の金融機関の適用金利ではありません。1行目は、建設費と土地取得費の合計が約3,889万円以上で、3,500万円が9割以下に収まる場合です。年1.0〜4.0%の仮定での月々は3,500万円を頭金なしで借りたときの月々の返済額、計算式は住宅ローンの金利から利息を計算する方法にあります。

民間の住宅ローンの金利は機関・商品ごとに決まるので、この記事では数値を並べていません。変動金利型は返済の途中で金利が見直されるため、金利を全期間一定と置いた上の表の計算は、そのままは当てはまりません。国土交通省の調査では、令和6年度の新規貸出額の内訳は、変動金利型83.5%、固定金利期間選択型9.5%、証券化ローン(フラット35等)4.9%、全期間固定金利型2.0%でした(回答1,100機関)。

03 フラット35Sは、当初5年間の金利が年0.25〜0.75%下がる

フラット35Sの金利の引下げは当初5年間で、幅はフラット35S(ZEH)が年0.75%、金利Aプランが年0.5%、金利Bプランが年0.25%です(フラット35Sだけを適用した場合。フラット35S)。省エネルギー性・耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合に使える制度で、6年目からは引下げ前の金利に戻ります。

機構の試算例では、借入額3,000万円(融資率9割以下)・借入期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なし・借入金利年2.50%の場合、総返済額はフラット35S(ZEH)で約125万円、金利Aプランで約83万円、金利Bプランで約41万円少なくなります。

フラット35Sには予算金額があり、達する見込みになると受付が終わります。土砂災害特別警戒区域内などで新築住宅を建設・購入する場合は利用できません。建てる住宅がどのプランの技術基準に当たるかは、建築会社と検査機関に確認してください。

04 フラット35のデメリットは、変動金利を選べないことと検査・資金の受取り時期

フラット35のデメリットは、機構の公表内容から拾うと、変動金利を選べないこと、住宅の検査が要ること、資金の受取りが竣工の後になることです。この記事では、利用する人の負担や制約になる条件をデメリットと呼んでいます。並べたのは編集部で、内容は機構のページの記載です。

  • 金利のタイプは全期間固定金利だけ:変動金利型や固定金利期間選択型は選べません(ご利用条件)。
  • 融資率9割超は金利が変わる:頭金なしの区分は、2026年10月の金利の範囲で年0.11%高く、返済の確実性等をより慎重に審査するとされています。
  • 技術基準に適合する住宅に限られる:物件検査に合格して適合証明書の交付を受けます。物件検査手数料は自己負担で、検査機関により異なります(対象となる住宅・技術基準)。
  • 資金の受取りは竣工の後:適合証明書を取扱金融機関に提出し、借入れの契約を結んだ日に受け取ります(よくある質問352)。
  • 一部繰上返済の金額に下限がある:インターネットサービス「住・MyNote」で10万円以上、取扱金融機関の窓口で100万円以上です。

負担が軽くなる条件もあります。フラット35は保証人が不要で、借入れ時に別途保証料を支払う必要もありません(よくある質問416)。繰上返済手数料も不要です。融資手数料は取扱金融機関により異なるので、金利とあわせて機関ごとに確かめます。

注文住宅では、検査が3回あり、資金を受け取れるのは竣工の後

住宅を建設する場合、フラット35の資金を受け取れるのは、設計検査・中間現場検査・竣工現場検査に合格し、適合証明書を取扱金融機関に提出して契約を結んだ日です(図2)。機構の融資手続・必要書類は、物件検査の申請と借入れの申込みの順序は問わないとしています。

フラット35で住宅を建設する場合の手続の流れ。1 借入れの申込み・団信の申込み、2 審査結果のお知らせ(申込みから1〜2週間程度が目安)、3 設計検査の申請・合格、4 着工・中間現場検査、5 竣工・竣工現場検査(合格すると適合証明書が交付される)、6 借入れの契約・資金の受取り(適合証明書を金融機関に提出した後)。6の契約の日までフラット35の資金の受取りはなく、必要なときはつなぎ融資を金融機関に相談する。
図2 フラット35で住宅を建設する場合の手続の流れ。住宅金融支援機構「【フラット35】融資手続・必要書類」・よくある質問(Q&A番号352・379)をもとに作成(NIKO ESTATE作成)

土地の代金や着工金・中間金を工事の途中で支払う場合、フラット35には中間資金がありません。機構は、資金実行時期までに資金が必要な場合は、つなぎ融資を用意している金融機関もあるので金融機関に相談するよう案内しています(よくある質問379)。支払日ごとのお金の流れはつなぎ融資と土地先行融資の違いで整理しています。

民間の住宅ローンでも、工事中の支払いへの対応は機関ごとに違います。比較表のとおり、PayPay銀行は着工金や中間金、土地代金の支払いのみの融資はできないとし、ドコモSMTBネット銀行(WEB申込コース)はつなぎ融資を扱っていません。建築会社には、技術基準に適合する設計か、物件検査をどの検査機関に申請するか、支払いの時期はいつかを確かめます。

05 他の借入れがある人は、返済負担率に合計される借入れを先に確かめる

他の借入れがある人がフラット35で先に確かめるのは総返済負担率で、住宅ローン以外の返済額も合計した年間返済額が、年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下に収まることが申込要件です(フラット35のご利用条件)。合計する借入れは、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシング、商品の分割払いやリボ払いによる購入を含む)などです。

年収400万円で自動車ローンの返済が月3万円(年36万円)ある場合、年間返済額の上限140万円のうち、住宅ローンに使えるのは104万円(毎月86,666円。円未満切り捨て)です。3,500万円を35年・年3.94%の仮定で借りる年間返済額は1,844,568円なので、35%以下に収まる年収は、他の借入れがなければ約528万円、月3万円の返済があれば約630万円からです(万円未満切り上げ)。

年収の金額そのものには、フラット35は下限を置いていません。機構は「借入れに当たり、最低年収などの制限はありません」としたうえで、年収に見合った返済負担になるよう総返済負担率の基準を挙げています(よくある質問311)。

契約の手続前に完済できる借入れは、扱いが変わります。機構は、借入れの契約の手続前に完済が可能なカードローンは、完済を前提に算出した総返済負担率で申し込めるとし、完済証明書などの提出が必要としています(よくある質問3221)。完済予定の借入れも、申出書にはすべて記入します。

民間の住宅ローンの返済負担率の基準は、機関ごとに違います。国土交通省の調査では、返済負担率を審査項目にしている904機関の具体的な基準(複数回答)は、40%以内が74機関、35%以内が58機関、30%以内が39機関、20%以内が6機関、45%以内が4機関、50%以内が2機関でした。数値を回答した機関は一部です。

同じ調査では、72.5%の機関が「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」を審査項目に挙げています。金利の仮定ごとの借入額の上限は年収別の借入可能額の早見表、他の借入れがある場合の倍率は年収倍率と返済負担率の違いで計算しています。自分の数字は借入可能額シミュレーションで確かめられます。

06 頭金が少ない人は、融資率9割超の扱いと借りられる費用の範囲を確かめる

頭金が少ない人がフラット35で確かめるのは融資率で、借入額は建設費または購入価額以内まで認められますが、9割を超えると借入金利が変わり、審査は「返済の確実性等をより慎重に」行うとされています(フラット35のご利用条件)。頭金なしで全額を借りることは、フルローンとも呼ばれます。

融資率の分母は、請負契約書の請負金額です。住宅の建設と併せて購入した土地がある場合は、土地の売買金額との合計額になります(融資率とは)。合計が3,500万円なら、9割にあたる借入額は3,150万円です。取扱金融機関によっては、融資率にかかわらず借入金利が同一の場合があるとも注記されています。

民間の住宅ローンで借りられる割合は、機関ごとに違います。国土交通省の調査では、購入の場合の融資率を審査項目にしている687機関の具体的な基準(複数回答)は、100%以内が380機関、80%以内が40機関、110%以内が38機関、120%以内が20機関、150%以内が16機関、90%以内が8機関、その他が81機関でした。

諸費用を借りられるかも、商品ごとに確かめます。PayPay銀行の商品要項は資金使途に住宅の購入・新築に伴う諸費用を挙げています。ドコモSMTBネット銀行のお借入条件(WEB申込コース)は、登記費用、火災保険料、事務取扱手数料などを資金使途に含め、新規借入の借入金額を担保評価額に500万円を加えた範囲内としています。

頭金なしのときにフラット35で借りられる諸費用と月々の増え方は3,500万円を頭金なしで借りた場合の試算、頭金を入れた場合との差は頭金0円と頭金ありの総返済額の比較で扱っています。

07 転職して間もない人・自営業の人は、勤続年数の条件と年収の計算方法を確かめる

転職して間もない人と自営業の人は、申込先に勤続年数(営業年数)の条件があるかと、年収をどの期間の収入から計算するかを確かめます。フラット35の申込人の要件は年齢・国籍等・総返済負担率の3つで(よくある質問3220)、編集部が読んだ範囲のご利用条件とよくある質問3220に、勤続年数の項目はありませんでした。

要件に項目がないことは、審査で何も確認されないことを意味しません。フラット35では、転職後の給与が12か月分に満たない人の年収を、転職後の収入を給与の支給された月数で割り戻して計算します(よくある質問390)。計算した年収が、総返済負担率の基準に当てはめられます。

自営業として起業した年は、フラット35に申し込めません。機構は、2026年に起業した場合について「2026年中は申込みできません。2027年1月から申込みできます」と答えています(よくある質問3265)。起業の翌年は申込みできますが、収入の継続性が確認され、年収は起業後の所得金額を日割りで1年分に直して計算します。式と試算はフラット35の勤続年数の条件と転職後の年収の計算方法にあります。

民間の住宅ローンでは、勤続年数の基準を置く機関があります。国土交通省の調査では、勤続年数を審査項目にしている933機関の具体的な基準(複数回答)は、1年以上が612機関、3年以上が128機関、2年以上が53機関、その他が168機関でした。雇用形態では「自営業者は対象外」が10機関です。

りそな銀行は、原則として給与所得者(契約社員を含む)は勤続年数1年以上、給与所得者以外は勤続または営業年数が3年以上の場合に申し込めるとしています。機関ごとの基準と確認の順番は転職したばかりの住宅ローンと勤続年数の基準、契約社員・派遣社員の条件は契約社員・派遣社員の住宅ローンの条件の比較で紹介しています。

08 健康状態に不安がある人は、団信の加入が申込みの条件かどうかを確かめる

健康状態に不安がある人は、団信への加入が申込みの条件になっているかを、申込先ごとに確かめます。フラット35は、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合も利用でき、その場合の借入金利は新機構団信付きの金利から0.2%を引いた金利です(よくある質問599)。

団信に加入しないと、万一のことがあった場合に返済する義務が残ります。機構は、相続が発生した場合には債務を相続した人が返済することになり、家族に負担を残す可能性があると注意しています。

民間の住宅ローンでは、団信の加入を条件にしている機関が多数です。国土交通省の調査では、健康状態を審査項目にしている955機関の具体的な内容(複数回答)は、「団信加入が必要」が834機関、「団信加入は選択可能」が89機関、「団信加入は不要」が2機関でした。PayPay銀行は「当社指定の団体信用生命保険にご加入いただける方」を利用の条件に挙げています(商品要項)。

加入条件を緩和した団信を扱う機関もあります。団信の種類と、申込み前に整理する順番は持病がある場合の団信の種類と選択肢にまとめています。

09 状況ごとに、最初に確かめる条件は変わる

申込み前に最初に確かめる条件は、他の借入れがある人は返済負担率、頭金が少ない人は融資率、転職して間もない人は年収の計算方法、自営業の人は起業した年、健康状態に不安がある人は団信の加入条件です。表は、ここまでの内容を状況ごとに並べ直したものです。

状況ごとに先に確かめる条件(並べたのはNIKO ESTATE編集部。フラット35の内容は住宅金融支援機構の公表内容、2026年10月13日に確認)
状況 フラット35で確かめること 民間の住宅ローンで確かめること
他の借入れがある すべての借入れの年間返済額を足して、年収の30%以下(400万円以上は35%以下)に収まるか。契約の手続前に完済できる借入れがあるか 申込先の返済負担率の基準と、合計される借入れの範囲
頭金が少ない・頭金なし 融資率が9割を超えるか。超える場合は、取扱金融機関の融資率9割超の金利 借りられる割合の上限と、諸費用を借りられるか
転職して間もない 転職後に1か月分が支給された給与の月数と、受け取ったボーナス(12か月分未満なら割戻計算) 勤続年数の基準(何年以上か)と、年収を確認する書類
自営業 起業した年(その年は申込みできない)と、確定申告書の所得金額 営業年数の基準と、対象になる雇用形態
健康状態に不安がある 団信に加入するか。加入しない場合の金利と、万一のときの備え 団信の加入が条件か。加入条件を緩和した団信があるか
注文住宅で工事中の支払いがある 技術基準に適合する設計か。物件検査の申請先。つなぎ融資を使えるか 土地代金・着工金・中間金に対応する融資があるか

確かめる順番は、借入額、返済負担率、年収の計算方法、団信、住宅と支払いの時期の順にすると、前の数字を次の計算に使えます。順番は編集部が計算の流れに沿って並べたものです。

  1. 借入額と融資率を出す:見積書の建物・土地の金額と、借りる予定の諸費用から借入額を出し、融資率が9割を超えるかを見ます。
  2. 返済負担率を計算する:住宅ローンの年間返済額に、他の借入れの年間返済額を足して年収で割ります。
  3. 年収の計算方法を確かめる:転職・起業から間もない人は、どの期間の収入を使うかを申込先に確認します。
  4. 団信の条件を確かめる:加入が条件か、加入する団信の種類で金利がどう変わるかを見ます。
  5. 住宅と支払いの時期を確かめる:建築会社に、技術基準への適合、検査の申請、土地代金・着工金・中間金の支払日を確認します。

1人の年収で基準に届かない場合、フラット35は収入を合算できる場合があります。合算の方法の違いはペアローン・収入合算・連帯債務の違い、パート・アルバイトの収入を合算できるかは収入合算者の条件を7機関で確認した記事で確認できます。

フラット35と民間の住宅ローンの両方を比べたい場合、フラット35は、複数の金融機関に申し込んで資金の受取り時に選ぶことも差し支えないとされています(よくある質問315)。申込みの前に事前審査(仮審査)を受けることもできます(よくある質問3676)。

NIKO ESTATEのサービスのページでは、20行以上の提携金融機関から、審査状況に合った先をご紹介すると案内しています。

10 まとめ

フラット35と民間の住宅ローンを比べるときは、まず見積書で借入額と融資率を出し、他の借入れの毎月の返済額を書き出してください。次に、検討中の取扱金融機関の金利情報で、自分の融資率と団信の区分の金利を確かめ、住宅ローン簡易シミュレーションで月々の返済額を計算します。シミュレーションの金利は0.1%刻みなので、近い金利で入力します。

民間の住宅ローンも検討する場合は、申込先の公式ページで、勤続年数、年収の下限、団信、借りられる割合の4つを探し、書かれていない項目は問い合わせます。建築会社には、技術基準への適合と支払いの時期を確認してください。

よくある質問

フラット35は、複数の金融機関に同時に申し込めますか?
フラット35は複数の金融機関に申し込んでも差し支えないと、住宅金融支援機構のよくある質問(Q&A番号315)にあります。申込書・収入証明書などの書類はそれぞれの申込みに提出し、重複して使うことはできません。利用しない申込みは、金銭消費貸借契約の前に辞退の手続きをします。
フラット35の申込みの前に、事前審査は受けられますか?
フラット35は申込みの前に事前審査を受けられますが、取扱金融機関によっては事前審査を実施していない場合があります。住宅金融支援機構のよくある質問(Q&A番号3676)は、事前審査は仮審査であり、借入申込後の正式な審査結果を約束するものではないとしています。
フラット35の金利は、申込みの時点で決まりますか?
フラット35の金利は申込みの時点では決まらず、資金実行時点の金利が適用されます(住宅金融支援機構のよくある質問、Q&A番号371)。ご利用条件によると、資金の受取日は取扱金融機関の定める日です。住宅を建設する場合の資金の受取りは、適合証明書を提出して借入れの契約を結んだ日になります。

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