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住宅ローン審査の知識

フラット35に勤続年数の条件はある?転職後の年収の計算方法

運営:NIKO ESTATE(株式会社LBC)
フラット35に勤続年数の条件はある?転職後の年収の計算方法

結論

フラット35の申込要件に勤続年数の項目は見当たらず、住宅金融支援機構が挙げる要件は申込時の年齢、国籍等、総返済負担率の3つです。転職後の給与が12か月分に満たない人は、転職後の給与から割り戻した金額が年収とみなされます。自営業として起業した年は申込みできません。

この記事でわかること

  • フラット35の申込要件3つと、勤続年数の項目が見当たらないことの根拠
  • 転職後の給与が12か月分ない人の年収を出す式と、住宅金融支援機構の算出例
  • 月給30万円の仮定で、申込みの時期ごとに計算上の年収と年間返済額の上限がどう変わるか
  • 転職扱いになる6つの場合と、転職扱いから除かれる場合
  • 自営業として起業した年の扱いと、申込み前に確かめる順番

フラット35に勤続年数の条件があるかは、住宅金融支援機構の2つのページで確かめられます。よくある質問「申込人の要件はありますか。」が挙げる要件は、年齢・国籍等・総返済負担率(返済負担率。年収に占める、すべての借入れの年間合計返済額の割合)の3つで、勤続年数は入っていません。

機構はフラット35パッケージのページでも、併用する住宅ローンについて「基本的に【フラット35】と同様、職業、勤続年数等による申込要件は設けておりません」と説明しています。

ただし、申込要件に勤続年数がないことと、審査で何も確認されないことは別です。フラット35のご利用条件には「取扱金融機関または住宅金融支援機構の審査の結果によっては、お客さまのご希望にそえない場合があります」とあります。転職して間もない人は年収の計算方法が変わり、その年収が総返済負担率の基準に当てはめられます。

記事の内容は2026年10月13日時点の公式情報に基づきます。扱うのはフラット35だけで、転職直後・勤続1年未満の人の年収がどう計算されるかを、機構のよくある質問と入力要領で確かめました。民間の金融機関の勤続年数の基準は機関ごとに違います。金利・団信・住宅の検査など勤続年数以外の条件は、フラット35と民間の住宅ローンの違いで比べています。国土交通省の調査結果やりそな銀行の例は転職したばかりの住宅ローンと勤続年数の基準で紹介しています。

総返済負担率は「返済比率」とも呼ばれます。転職後の給与を支給された月数で割り戻して年収とみなす計算を、機構のよくある質問は「割戻計算」と書いています。試算に使う給与はすべて仮定で、計算結果は審査の結果を示すものではありません。

01 申込要件のうち年収が関わるのは総返済負担率で、年収400万円を境に基準が変わる

フラット35の総返済負担率の基準は、年収400万円未満の人が30%以下、400万円以上の人が35%以下で、住宅金融支援機構は、年齢・国籍等の要件とあわせて全ての要件を満たすことが必要と説明しています(よくある質問3220)。

機構が挙げる要件は年齢・国籍等・借入れの返済額についての決まりで、働いた年数を数える項目はありません。

フラット35の申込人の要件。住宅金融支援機構のよくある質問(Q&A番号3220)をもとに作成
要件 内容 補足
年齢 申込時の年齢が満70歳未満 親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上でも申込みできる(後継者は申込時に満70歳未満)
国籍等 日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方 —
総返済負担率 年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下 フラット35のほか、フラット35以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローンなど、すべての借入れの年間合計返済額で計算する

編集部が2026年10月13日に読んだ範囲では、よくある質問3220とご利用条件の「申込要件」に、勤続年数・職業・雇用形態を条件にした項目はありませんでした。「勤続年数等による申込要件は設けておりません」という文があるのは、フラット35パッケージ(フラット35と、固定金利期間選択型・変動金利型の住宅ローンを金融機関が一体で融資する商品)のページで、併用する住宅ローンを説明する箇所です。

総返済負担率は年収を分母にした割合です。ご利用条件によると、年収は原則として申込年の前年の収入を証する公的証明書の金額で、給与収入のみの人は給与収入金額です。転職した人は、分母の年収をどの期間の給与から計算するかが変わります。

02 転職後の給与が12か月分ないときは、月数で割り戻して年収にする

転職後に受け取った給与が12か月分に満たない人の年収は、フラット35では、転職後の給与を月数で割って12倍し、ボーナスを足して計算します。

よくある質問390は、最近転職した給与収入のみの人について「お申込みいただけます」と答えています。勤務先が作成する「転職後の収入を証明する書類」に記入された転職後の収入を「給与の支給された月数で割り戻し、その金額を年収とみなします」という説明です。借入申込日から遡って12か月分以上の給与支給を受けている場合は、割戻計算を行わず、その12か月分の給与支給額が年収とみなされます。

式はWeb申込サービスの入力要領(主債務者情報、2026年10月現在、5ページ)に載っています。転職後からお申込みまでに12か月以上の給与がない場合の「計算例02」は、転職した月から借入申込月の前月までの給与の合計額を、同じ期間の月数で割って12を掛け、転職した月から借入申込月までのボーナス支給額を足す式です。

年収の計算方法は、給与収入のみの人で3とおり、自営業として起業した人で2とおりに分かれます(図1)。入力要領が計算例の対象にしているのは、借入申込年の前年以後に転職・就職した人です。それより前に転職した人は、原則どおり前年の公的収入証明書の金額を使う説明になります。

フラット35の年収の計算方法の分かれ方。給与収入のみの人は、転職が申込年の前年より前なら前年の公的収入証明書の金額、前年以後の転職で給与が12か月分以上なら直近12か月分の給与とボーナス、12か月分未満なら月数で割り戻して12倍しボーナスを足す。自営業として起業した人は、申込年の前年の起業なら所得を日割りで1年分に直し、申込年の起業ならその年は申込みできない。
図1 フラット35の年収の計算方法の分かれ方。住宅金融支援機構のよくある質問(Q&A番号390・3265)とWeb申込サービス入力要領(2026年10月現在)をもとに作成(NIKO ESTATE作成)

機構の算出例は、ボーナスを除いて割り戻し、後から足している

よくある質問390の算出例は、ボーナスを除いた給与を月数で割り、12倍してからボーナスを足す2段階の計算です。設定は、転職年月日が2026年4月12日、借入申込年月日が2027年2月16日、2026年5月分から2027年1月分までの支払金額が6,924,763円(6月と12月のボーナス計70万円を含む)です。

  1. 6,924,763円からボーナス70万円を除いた6,224,763円を9か月で割り、1か月当たり691,640円を出す(小数点以下切り捨て)。
  2. 691,640円を12倍し、ボーナス70万円を足して8,999,680円とする。

転職した月の4月12日〜30日の19日分は、「1か月未満の期間」として計算から除かれています。入力要領も、転職直後の給与が1か月分支給されていない場合は合計額と月数の両方から除くとし、その月に相当するボーナス支給額は含めて計算して差し支えないとしています。

よくある質問390の本文は「給与の支給された月数で割り戻し」と書いていて、ボーナスを割り戻さずに足すことは算出例と入力要領の式から分かります。入力要領(主債務者情報、5ページ)の式は、ボーナスを足す期間を「転職した月から借入申込月まで」と書いています。同じ計算例は入力要領(連帯債務者情報)の6ページにも載っています。

自分の場合にどの月の給与とボーナスまで使うかは、取扱金融機関に確認してください。よくある質問390も、詳しい取扱いは取扱金融機関に問い合わせるよう案内しています。

03 月給30万円の仮定では、ボーナスの前後で計算上の年収が360万円と400万円に分かれる

転職後の月給が30万円で一定という仮定を機構の式に当てはめると、計算上の年収は、ボーナスを受け取る前の申込みで360万円、12月のボーナス40万円を受け取った後の申込みで400万円になります。

仮定は、2026年4月1日に転職、月給は額面30万円で毎月同額(月末締め・翌月15日支給)、ボーナスは2026年12月に40万円(転職した年の夏のボーナスはなし)、申込日は各月の20日です。金額はすべて編集部が置いた仮の数字で、実在の事例ではありません。

2027年1月20日に申し込む場合は、4月分から12月分までの9か月の給与270万円を9で割って12倍した360万円に、ボーナス40万円を足して400万円になります(図2)。

割戻計算の過程。2026年4月1日に転職、月給30万円、2026年12月にボーナス40万円、2027年1月20日に申込みという仮定で、給与の合計270万円を9か月で割って月30万円、12倍して360万円、ボーナス40万円を足して400万円。
図2 割戻計算の過程(月給30万円・12月のボーナス40万円・2027年1月20日申込みの仮定)。住宅金融支援機構のよくある質問(Q&A番号390)とWeb申込サービス入力要領をもとに作成(NIKO ESTATE作成)

申込みの時期を3つ並べると、月給が同じでも、受け取ったボーナスの分だけ計算上の年収が変わります。

転職後の月給30万円・12月のボーナス40万円の仮定で計算した年収と、総返済負担率の基準(NIKO ESTATE作成の試算。月々の上限は円未満切り捨て)
申込日(仮定) 計算に使う給与 足すボーナス 計算上の年収 総返済負担率の基準と年間返済額の上限
2026年10月20日 4月分〜9月分の180万円 ÷ 6か月 × 12 = 360万円 0円 360万円 30%以下・108万円(月9万円)
2027年1月20日 4月分〜12月分の270万円 ÷ 9か月 × 12 = 360万円 40万円 400万円 35%以下・140万円(月116,666円)
2027年4月20日 直近12か月分(4月分〜3月分)の360万円。割戻計算なし 40万円(直近12か月に支給された分) 400万円 35%以下・140万円(月116,666円)

月給が毎月同じなら、割り戻した給与の12か月分は、何か月目に申し込んでも月給の12倍で変わりません。変わるのは足すボーナスの額です。この仮定では年収400万円が総返済負担率の基準の境目に当たるため、年間返済額の上限は108万円と140万円で32万円の差になります。残業代などで月々の給与が変わる人は、割る月数によって1か月当たりの金額も変わります。

年間返済額の上限には、自動車ローンなど他の借入れの返済額も含まれます。上限を借入額に直す計算は年収倍率と返済負担率の違い、年収300万円台の借入額の上限は年収300万円で3,500万円を借りられるかの逆算で、金利の仮定ごとに示しています。試算は式に当てはめた結果なので、実際に使う期間と金額は取扱金融機関に確認してください。

04 勤務先や雇用形態が変わると「転職扱い」になり、試用期間の終了は含まれない

フラット35で転職扱いになるのは、勤務先が変わった場合だけでなく、同じ勤務先で雇用形態が変わった場合も含まれ、試用期間が終わって正式採用になっただけの場合は除かれます(よくある質問3330)。

機構が転職扱いとして挙げているのは6つの場合で、そのうち2つに除かれる場合が書かれています。

フラット35で転職扱いになる場合。住宅金融支援機構のよくある質問(Q&A番号3330)をもとに作成
転職扱いになる変更 転職扱いから除かれる場合
勤務先の変更 出向の場合、および会社合併、会社分割、会社組織の変更等で給与体系に変更がない等、従前の勤務先と現在の勤務先との継続性が認められる場合
給与所得者から事業所得者への変更 記載なし
事業所得者から給与所得者への変更 記載なし
子会社等への転籍による勤務先の変更 記載なし
個人事業主が法人成りする変更 記載なし
雇用形態の変更(パートから正社員になる、正社員から嘱託社員になる等) 単に試用期間が終了し、正式採用となった場合等

同じ会社で働き続けていても、パートから正社員になった人は転職扱いに当たります。入力要領(主債務者情報、2ページ)も、雇用形態に変更があった人は「就職年月」に変更後の勤務開始年月を入力するとしています。転職扱いになるという定義なので、変更後の給与が12か月分に満たなければ割戻計算の対象になると読めますが、個別の扱いは取扱金融機関に確認してください。

契約社員・派遣社員の人が民間の金融機関の条件も比べるときは、契約社員・派遣社員の住宅ローンの条件の比較で金融機関ごとの例を確認できます。

05 自営業として起業した年は、フラット35に申し込めない

自営業として起業した年のうちは、フラット35に申し込めません。よくある質問3265は、2026年に自営業として起業した場合について「2026年中は申込みできません。2027年1月から申込みできます」と答えています。入力要領(主債務者情報、6ページ)の「計算例04 借入申込年に起業した方」も「お申込みいただけません」としています。

起業した翌年は申込みできますが、機構は「収入の継続性について確認させていただきます」としています。年収は、起業した年の確定申告書の写しと申込人の申告書にもとづき、起業後の所得金額を「所得を得た期間」で1年分に割り戻して計算します(日割計算)。

機構の計算例は、所得金額を起業後の日数で割り、365日分に直す2段階です。設定は、2025年8月13日に自営業を起業、2025年の所得金額が4,687,130円、申込年月日が2026年10月9日です。

  1. 4,687,130円 ÷ 141日(8月13日〜12月31日の日数)= 33,242円(1円未満切り捨て)
  2. 33,242円 × 365日 = 12,133,330円

計算に使うのは売上ではなく所得金額です。ご利用条件も、給与収入のみの人以外の年収を、事業所得・不動産所得・利子所得・配当所得・給与所得の所得金額の合計額としています。会社員から独立した場合は「給与所得者から事業所得者への変更」として転職扱いに含まれます。よくある質問3265に、前職の勤続年数による例外は書かれていません。所得金額の見方や用意する書類は、自営業の住宅ローンで確かめることで扱っています。

06 申込み前に確かめるのは、転職扱いか・給与が何か月分あるか・勤務先に頼む書類

申込み前に確かめることは、自分の変更が転職扱いに当たるか、転職後の給与が何か月分あるか、勤務先に何の書類を頼むかの3つです。確かめる順番は編集部が並べたもので、内容は機構のよくある質問と入力要領の記載です。

  1. 転職扱いに当たるかを確かめる。勤務先の変更のほか、雇用形態の変更、独立、法人成りも含まれる(よくある質問3330)。
  2. 転職(変更)の時期を確かめる。借入申込年の前年以後なら入力要領の計算例の対象になり、自営業として起業した年なら申込みできない。
  3. 転職後に1か月分が支給された給与が何か月分あるかを数える。12か月分以上なら直近12か月分、12か月分未満なら割戻計算になる。
  4. 勤務先に「転職後の収入を証明する書類」の作成を頼む。書類の様式と、どの月の給与・ボーナスまで記入するかは取扱金融機関に確認する。
  5. 計算した年収で総返済負担率を確かめる。基準は年収400万円未満が30%以下、400万円以上が35%以下。

状況が違うと、最初に確かめる数字が、給与の月数、変更後の勤務開始年月、起業した年のどれになるかが変わります。

状況ごとの当てはめ(例)。住宅金融支援機構のよくある質問(Q&A番号390・3265・3330)をもとに作成
状況(例) 機構の資料での扱い 最初に確かめること
正社員として転職して半年 転職扱い。給与が12か月分未満なので割戻計算 1か月分が支給された給与の月数と、受け取ったボーナス
同じ会社でパートから正社員になった 雇用形態の変更として転職扱い 変更後の勤務開始年月と、その後の給与の月数
出向した、会社の合併で勤務先の名前が変わった 継続性が認められる場合は転職扱いから除かれる 給与体系に変更がないか
試用期間が終わって正式採用になった 試用期間の終了だけでは転職扱いにならない 入社した年月と、入社後の給与の月数
会社員から独立して自営業になった 転職扱い。起業した年は申込みできず、翌年は日割計算 起業した年と、確定申告書の所得金額

勤務先に頼む書類は、よくある質問390では「転職後の収入を証明する書類」と書かれています。様式の名称や提出の時期は、編集部が読んだ範囲の機構のページでは確認できなかったため、取扱金融機関に確認してください。

07 まとめ

フラット35の年収は、転職した人の場合、勤続年数ではなく転職後に受け取った給与とボーナスから計算されます。まず、転職した年月、1か月分が支給された給与の月数、受け取ったボーナスを給与明細で書き出してください。12か月分に満たなければ、給与の合計を月数で割って12倍し、ボーナスを足した金額が計算上の年収です。

次に、その年収に30%(400万円以上なら35%)を掛け、他の借入れの年間返済額を引いて、住宅ローンに充てられる年間の返済額を出します。借入額は借入可能額シミュレーションで計算できます。申込先が決まったら、勤務先に頼む書類と計算に使う期間を取扱金融機関に確認してください。民間の住宅ローンも比べる場合は、金融機関ごとの勤続年数の基準と確認の順番で申込先の条件を確かめられます。

よくある質問

派遣社員の場合、フラット35の申込みで就職年月はいつを入力しますか?
派遣社員の就職年月は、所属する派遣会社に登録した年月を入力します。住宅金融支援機構のWeb申込サービス入力要領(主債務者情報、2026年10月現在)の2ページに申込本人の入力方法として記載があり、勤務先の名称・住所・業種は派遣先について入力するとされています。
1月〜5月にフラット35を申し込む場合、年収はどの書類で確認されますか?
1月〜5月頃は前年分の公的収入証明書の発行を受けられない時期で、住宅金融支援機構のご利用条件は、金融機関により取扱いが異なることがあるとしています。Web申込サービス入力要領(主債務者情報、4ページ)は、前々年の収入が記載された公的収入証明書の金額か、前年の収入が記載された源泉徴収票または確定申告書の金額を入力すると説明しています。
収入を合算する家族が転職したばかりの場合、フラット35ではその人の年収をどう計算しますか?
収入合算のために連帯債務者になる人が転職したばかりの場合も、申込本人と同じ計算例が当てはまります。住宅金融支援機構のWeb申込サービス入力要領(2026年10月現在)は、連帯債務者情報の入力説明にも、主債務者情報と同じ転職した人の計算例を載せており、連帯債務者となる理由の1つに「収入合算のため」を挙げています。収入を合算できる人の要件は、取扱金融機関に確認してください。

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