結論
信用情報機関のJICCは、口座引落しなどで直接納めている税金の支払情報は登録されないと説明しています。ただし国税の納税証明書(その1)には未納税額が載り、東京都港区の例では住民税の納税証明書にも記載されるため、金融機関から提出を求められた場合は未納が申込先に分かります。滞納があると審査がどうなるかを明記した公式資料は確認できていません。
この記事でわかること
- 税金の支払情報と信用情報機関の関係(JICCの説明と、カード払いの例外)
- 国税の納税証明書(その1〜その4)と、住民税の証明書(東京都港区の例)の、どれに未納税額が載るか
- 納税証明書の提出を求めると公式に書いている金融機関の例と、対象になる人
- 公式資料で確認できなかったこと(滞納があるときの審査の扱い、国民健康保険料など)と、国税徴収法が定める徴収の順位
- 未納の確認から申込みまでの、申込前に確かめる順序
JICC(株式会社日本信用情報機構)は「よくある質問」で、公共料金と税金の支払情報について「口座引落し等直接お支払いされている場合は、JICCに登録されません」と答えています。JICC「公共料金、税金などの延滞」 一方、国税庁は納税証明書(その1)の証明内容を「納付すべき税額、納付した税額及び未納税額等の証明」としています。国税庁「納税証明書の交付請求手続」
税金の滞納(納期限までに納めていない状態)は、信用情報の照会とは別に、納税証明書の提出という経路で申込先に伝わることがあります。滞納があると審査に通らない、完納すれば通る、と書いた公式の資料は、編集部が読んだ範囲(この記事の出典に挙げた信用情報機関・国税庁・住宅金融支援機構・金融機関のページ)では見当たりませんでした。
この記事は2026年10月13日時点の公式情報に基づきます。審査の結果は申込先の金融機関が判断するため、扱うのは「どの書類に何が載るか」と「申込前に確かめる順序」までです。税額や納付についての個別の判断は、税務署・市区町村・税理士に確かめてください。
01 JICCの説明では、税金のカード払いはカードの延滞情報が登録される場合がある
税金をクレジットカードで納めている場合について、JICCは「クレジットカードのお支払いの延滞情報が登録される場合がございます」と説明していて、口座引落しなどで直接納めている場合とは扱いが分かれます。JICC「公共料金、税金などの延滞」 登録されうるのは税金そのものではなく、カードの支払いの遅れです。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)の「よくあるご質問」にも似た項目がありますが、対象は公共料金で、税金には触れていません。CIC「公共料金の延滞」 全国銀行個人信用情報センター(KSC)が税金の扱いを明記した資料は、編集部は確認していません。3つの機関の役割の違いはCIC・JICC・KSCの違いで、税金以外の督促状と信用情報の関係は督促状が届いたら信用情報に載るかで扱っています。
税金の未納が申込先に伝わる経路として公式資料で確認できたのは、信用情報ではなく、提出を求められた納税証明書のほうです(図1)。
02 国税の納税証明書は、「その1」に未納税額が載る
国税の納税証明書は「その1」から「その4」まであり、未納税額を証明内容に含むのは「その1」、未納の税額がないことを証明するのが「その3」です。国税庁「納税証明書の交付請求手続」 所得税などの国税の証明書は、現在の住所地(納税地)を所轄する税務署に請求します。住民税の証明書は市区町村が発行する別の書類です。
証明書の種類ごとに証明・記載の内容を並べると、未納が分かる書類と分からない書類が分かれます。
| 証明書 | 発行元 | 証明・記載の内容 |
|---|---|---|
| 納税証明書(その1) | 税務署 | 納付すべき税額、納付した税額及び未納税額等の証明 |
| 納税証明書(その2) | 税務署 | 所得金額の証明 |
| 納税証明書(その3) | 税務署 | 未納の税額がないことの証明 |
| 納税証明書(その4) | 税務署 | 証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けたことがないことの証明 |
| 住民税の納税証明書(東京都港区の例) | 市区町村 | 納入済額と未納税額が記載される(延滞金額は記載されない) |
| 住民税の課税(非課税)証明書(東京都港区の例) | 市区町村 | 納税状況は記載されない |
「その2」の証明内容は所得金額なので、国税庁の説明のうえでは、未納税額を証明する書類は「その1」です。申込先から求められたのが「その1」か「その2」かで、未納税額が申込先に伝わるかが変わります。
03 住民税は納税証明書に未納税額が載り、課税証明書には載らない(東京都港区の例)
東京都港区は、住民税(特別区民税・都民税)の課税(非課税)証明書には納税状況が記載されず、納税証明書には納入済額と未納税額が記載されると案内しています。東京都港区「税金を滞納しているのですが…証明書は取れますか」 同じ回答によると、証明書は滞納の有無に関わらず申請でき、納税証明書に延滞金額は記載されません。
ここで引いたのは港区という1つの自治体の案内です。証明書の名称や記載される項目は、住んでいる市区町村の窓口やウェブサイトで確かめてください。フラット35が住民税課税証明書を所得を証明する書類(公的収入証明書)に挙げているように、課税証明書は収入の確認に使われる書類で、名前は似ていますが納税証明書とは別のものです。フラット35「融資手続・必要書類」
04 納税証明書を求めるかどうかは、金融機関と申込者の状況で違う
納税証明書の提出を求めるかどうかは金融機関ごとに違い、同じ機関でも、給与所得だけの人と確定申告をしている人で書類が分かれます。住宅金融支援機構は、フラット35の申込みに必要な書類は「取扱金融機関によって異なります」としています。フラット35「融資手続・必要書類」
納税証明書について公式ページに記載がある機関を、編集部が確認できた範囲で並べると、次の3つです。ここにない金融機関が求めない、という意味ではありません。
| 機関・商品 | ページ名 | 納税証明書についての記載 |
|---|---|---|
| 住宅金融支援機構 フラット35 | 「融資手続・必要書類」 | 所得を証明する書類として、給与所得のみ以外の方は「納税証明書(所得金額用)および確定申告書(写)等」。申込み後に「審査上の理由で、住民税納税証明書、直近時における給与明細の写しや給与振込通帳の写しなどの追加の書類提出をお願いする場合があります」 |
| auじぶん銀行 住宅ローン | よくあるご質問(ID:2021、本審査の必要書類) | 確定申告をしている人は、納税証明書の「その1」「その2」ともに、「申告所得税及復興特別所得税」を税目として選択して申請する |
| 楽天銀行 住宅ローン | 「必要書類一覧」(変動金利(固定特約付き)・新規借り入れ) | 「住民税が給与天引されていない場合は、納税証明書の提出が必要となります。」所得税納税証明書(その1・その2)は「給与収入のみのかたは、ご提出不要です」(年収2,000万円超のかた、複数の勤務先から収入があるかたは必要) |
フラット35の「納税証明書(所得金額用)」は、名称のとおり所得金額を確かめるための書類です。国税庁の区分で所得金額を証明するのは「その2」で、未納税額等を証明する「その1」とは別です。どの種類を何年分求められるかは、申込先の必要書類の一覧で確かめます。事前審査(仮審査)と本審査の違いは、事前審査と本審査の違いで扱っています。
状況ごとの当てはめ
働き方と税金の納め方が違うと、関係する書類と、最初に確かめることが変わります。
| 状況(例) | 公式ページの記載 | 最初に確かめること |
|---|---|---|
| 会社員で、収入は給与だけ | フラット35は、住民税課税証明書などの公的収入証明書を求め、申込み後に住民税納税証明書を追加で求める場合があるとしている | 申込先の必要書類の一覧と、追加書類の有無 |
| 会社員で、住民税を給与天引きではなく自分で納めている | 楽天銀行は、住民税が給与天引されていない場合は納税証明書の提出が必要としている | 住民税の納期ごとの納付状況 |
| 自営業など、確定申告をしている | フラット35は納税証明書(所得金額用)と確定申告書の写し、auじぶん銀行は納税証明書の「その1」「その2」 | 所得税の未納の有無(「その1」に載る) |
| 税金をクレジットカードで納めている | JICCは、カードの支払いの延滞情報が登録される場合があるとしている | カードの支払いに遅れがないか |
自営業として起業したばかりの場合は、納税証明書より前に、申込みができる時期の条件があります。フラット35の扱いはフラット35の勤続年数と起業した年の扱いにまとめています。確定申告書を何年分求めるかの例は、自営業の人の年収の見方と書類に載せています。
05 公式資料から言えるのは、未納税額が申込先に分かるところまで
公式資料から言えるのは、納税証明書を提出すれば、そこに記載された未納税額が申込先に分かる、というところまでです。未納があった場合に申込先がどう扱うかを書いた資料は、編集部が読んだ範囲(この記事の出典に挙げた信用情報機関・国税庁・住宅金融支援機構・金融機関のページ)にはありませんでした。
フラット35のページは、審査上の理由で住民税納税証明書を追加で求める場合があるとしていますが、未納があった場合にどう扱うかは書いていません。フラット35「融資手続・必要書類」 「滞納があると通らない」「完納すれば通る」のどちらも、この記事では書きません。扱いは申込先に確かめてください。
国民健康保険料についても、確認できなかったことを書いておきます。国民健康保険の費用は、保険料として徴収する市町村と、国民健康保険税として課す市町村があります。国民健康保険法第76条・地方税法第703条の4 金融機関が住宅ローンの審査で納付状況を確認すると明記した資料も、信用情報機関が登録の対象外と明記した資料も、編集部は見つけられませんでした。JICCの回答が挙げているのは公共料金と税金です。
固定資産税の納税証明書を住宅ローンの申込みで求めるか、家族の滞納が本人の申込みに関係するかも、公式資料では確認できていません。ローンやクレジットの延滞と信用情報の関係は、信用情報の事故情報と住宅ローン審査で扱っています。
06 国税徴収法は、国税をほかの債権より先に徴収すると定めている
国税徴収法が定めているのは徴収の順位で、金融機関がこの定めを理由に納税証明書を確認している、と書いた資料を編集部は確認していません。住宅ローンに関わるのは、国税と抵当権のどちらが先になるかが、国税の法定納期限等と抵当権を設定した時期の前後で分かれる点です。
国税徴収法第8条は、国税を納税者の総財産について「すべての公課その他の債権に先だつて徴収する」と定めています(国税優先の原則)。国税徴収法 例外の1つが第16条で、「納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する」としています。
フラット35では、借入れの契約と資金の受取りと同時に抵当権の設定手続を行います。フラット35「融資手続・必要書類」 第16条が抵当権を国税より先に扱うのは、国税の法定納期限等(法律が定める期限)以前に設定されていた場合、という条文になっています。地方税法も、第14条で地方団体の徴収金の優先を、第14条の10で法定納期限等以前に設定された抵当権の優先を定めています。地方税法
条文から分かるのは順位の決まり方までです。自分の場合に順位がどうなるかという個別の判断は、弁護士などの専門家に確かめてください。
07 申込前の確認は、未納の有無・納付や相談・証明書の取り直しの順に進める
申込前の確認は、未納があるかを調べる、納付するか相談する、証明書を取り直す、必要書類を確かめて申し込む、の4段階に並べられます。順序を並べたのは編集部で、それぞれの段階の内容は国税庁・東京都港区・住宅金融支援機構の資料によります(図2)。
- 未納があるかを調べる。国税は納税証明書(その1)に未納税額等が載る。住民税は、港区の例では納税証明書に納入済額と未納税額が載り、滞納の有無に関わらず申請できる。
- 未納があれば納付する。一時に納付することが難しいときは相談する。国税庁は、税務署に申請することで猶予(換価の猶予、納税の猶予)が認められる場合があるとし、「お早めに所轄の税務署の徴収担当にご相談ください」と案内している。
- 納付した後に証明書を取り直す。国税庁は「申告又は納税の直後においては、当日中に納税証明書を発行できない場合があります」としている。
- 申込先の必要書類を確かめて申し込む。どの証明書を何年分出すかは金融機関ごとに違う。
猶予には要件があります。国税庁のタックスアンサーによると、換価の猶予は、納税について誠実な意思を有すると認められることなど5つの要件のすべてに該当するときに、原則として1年以内の期間に限り認められる場合があります。国税庁「No.9206 国税を期限内に納付できないとき」 住民税については、納付先の市区町村の窓口に確かめます。
住民税の証明書への反映は、納付した場所で変わることがあります。港区は、区の窓口で未納分を支払った場合は納入済金額を反映した納税証明書をすぐに発行でき、直近に金融機関等で納付した場合は納付額が反映されない場合があるので、支払時の領収書を窓口に持参するよう案内しています。東京都港区のよくある質問
猶予を受けている間、納税証明書にどう記載されるかは、編集部は公式資料で確認できていません。猶予の相談をするときに、証明書の記載もあわせて税務署に確かめてください。
08 まとめ:申込先が求める証明書の種類から確かめる
最初に見るのは、申込先の必要書類の一覧に納税証明書があるか、あるなら国税の「その1」「その2」のどれか、住民税の納税証明書か、という点です。次に、その証明書を自分で取り、未納税額の欄を確かめます。未納があった場合は、納付するか、税務署や市区町村に相談してから証明書を取り直します。ローンやクレジットの支払いも気になる場合は、督促状と信用情報の関係もあわせて確かめてください。
税金の納付状況が気になる方は、申込前に今の状況を診断で整理できます
無料相談・ローンシミュレーションを依頼する関連記事
年収300万円台でも組める?住宅ローンの借入可能額を年収別に解説
年収が低いから住宅ローンは組めないと決める前に、年収250万〜600万円の借入可能額を早見表で確認できます。フラット35の返済負担率の基準(年収400万円未満30%以下・400万円以上35%以下)から、月々の返済額と借入額の上限を金利の仮定3通りで計算しました。
住宅ローン審査に落ちた後、何社まで再申込みしていい?間隔とNG行動
審査落ちの後、慌てて何社も申し込むと逆効果になることも。適切な間隔とNG行動、借入ありの人向けの対策を解説します。
フラット35と民間住宅ローンの違い|借入あり・頭金なしの人が比べる条件
借入れがある・頭金が少ない方向けに、フラット35と民間の住宅ローンの違いを、公表されている条件で比較しました。フラット35は全期間固定金利で、返済負担率の基準は年収400万円未満30%以下・400万円以上35%以下、頭金なしは融資率9割超の区分です。デメリットと、状況別に先に確かめる条件も整理します。